2022年半ばの私共香港オフィスによるバミューダ及びケイマン諸島会社のIPOのテーマとトレンドレビューは、香港とニューヨークの二都市の市場についてでした。2年後の今、香港市場は引き続き、NYSE/Nasdaqの台頭に対して苦戦しています。2024年、アジアに拠点を置く企業のIPOの現状はどうでしょうか?

NYSE/Nasdaq

アジアに拠点を置く中小企業のIPOの多くはNasdaqを選択しています。コンヤースは過去2年間で、香港、中華人民共和国、日本、マレーシア、シンガポール、タイおよびフィリピンを拠点とする企業のNasdaq 上場を支援しました。IOT、家事サービス、不動産、セキュリティソリューション、医療リラクゼーションサービス、産業用洗浄機器の供給および建設機器等、様々な事業分野の企業が、その事業及び運営を拡大するための手段として、Nasdaq 上場を成功させています。

今後を見据えると、シンガポール拠点の特に中小企業のIPOのパイプラインが安定して増加しており、香港やシンガポールより適したアクセスのよい上場市場として、Nasdaqを選択しています。マレーシアでも、海外での上場を検討する企業の数が顕著に増加していますが、マレーシアリンギットに対する米ドルの相対的な強さに鑑みると、これらの上場はバリュエーションが難しいかもしれません。2023年に導入された中国証券監督管理委員会(CSRC)の海外上場承認要件による減速を克服した中国からも、米国資本市場にアクセスする企業の数が安定して増加しています。特定の法域では、ケイマン諸島籍ビークルの上場に伴う問題(例えば日本企業のIPO前企業再編に関する課税や、フィリピン、タイまたはインドネシア設立企業の特定産業における所有権制限)がありますが、近時のIPO事例は、企業がかかる上場を選択すれば、これらは克服可能な問題であることを示唆しています。

ケイマン諸島かバミューダか?

ヨーロッパで事業を行う企業は従来から引き続きバミューダ籍会社を上場ビークルとして選択するケースが増えている一方、アジア企業のNYSE/ Nasdaq上場ビークルは、ケイマン諸島籍会社が主流です。

ケイマン諸島籍会社を上場ビークルとして活用することにより、政治的および経済的安定性、効率的な司法システム、有利な税制、外国為替管理や通貨制限の不在、専門家のサポートサービスを含む特定の利益を享受できます。また、非米国企業として外国民間発行体のステータスを得ることにより、上場会社が米国籍上場会社に適用される特定の米国証券取引法の規定から免除され、さらに、企業統治に関する特定のケイマン諸島の本国慣行を採用することが許されているため、上場後の会社運営が容易になります。

さらに情報が必要な場合は、Conyersでご存じの弁護士またはリチャード・ホールにお問い合わせください。

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